(9/2)長期避難世帯に認定されている輪島市町野町寺山地区に入りました。昨年5月の農水委員会で取り上げた「山の中のビニールハウス」の地域です。

地域の方から一緒に入って現状を見て欲しいとの依頼をいただき、どこから入れるのだろうと思っていたら1100ヶ所街宣で最も行くのに困難だった思い出の林道から。震災前までは地域の方でさえもほとんど使っていない林道でしたが、長期避難が解除されたら絶対に戻るんだ、との強い意志で崩れかけの道でも何キロにも渡り草が刈られていました。

25軒の営みがあった集落は残酷なほど静かでした。田んぼだった場所に2mを超える雑草と埋もれてしまっている電気柵。家の中は動物の糞尿と足跡。言葉が出ません。

長期避難が解除された数年後、準半壊などの家屋の被害認定調査はそのままでいいのか、直せる状況にあるのか、これらが必ず問題化してくるはずです。

7年ほど前から谷の両向かいで桜とモミジを植えて春も秋も楽しめる集落にしようという計画が始まり、桜は既に500本以上植えたそうですがその桜を雑草から守ろうと草が刈られていました。
ただ、広大な集落のほとんどの田んぼや畑は雑草林のよう。再開しようという時にはボランティアに来て欲しいけどその時には全国の方にも忘れられているのではないか、と。

二次避難の期間中、警察の方が林道を何時間も歩いて見回りに来てくれて、安全確認の紙がその都度玄関に貼られているのを戻って見た時に涙が出た、感謝の気持ちを伝えて欲しいとも言われました。

帰り際暗くなりかけの空を見上げたら青いけれど中はしっかりと入ってそうな栗の「イガイガ」。まだ暑いですが沢山のトンボの姿と合わせ秋が近いことを教えてくれています。

「何をして欲しいわけではないけれど、とにかく今の姿を見て欲しかった」と集落の方の言葉。
「来年は桜を見に来ます」との私の返事は正しかったのか。同行していただいたお二人とも今は仮設住宅。寄り添い続けていきたいです。

山の向こう側では懸命の復旧工事が行われています。それでも4年程度はまだかかるようです。
長い戦いです。
いつの日にか全国の皆様に桜もモミジも観に来ていただければと思います。